沖縄国際大学の宮森教授、アドスタッフ博報堂の五味常務取締役によるマーケティング講座。
物が売れる仕組みを基礎から応用まで簡単に紹介します!


 
第2回 マーケティング活動と売上構造の分析

●売上を上げる為のプロモーションの考え方

 マーケティング活動には一般的に言われる4つのP(プロダクト、プロモーション、プライス、プレイス)とそれに付随するマーケティング・リサーチがあります。それらの中で即効性のあるマーケティング・テクニックはプロモーションだと言えます。ここでは、スペースの関係上、プロモーションに、その中でも特にセールス・プロモーションに焦点を絞ってお話しします。
 企業はお客様を集めたり、売上を上げたりするためにいろいろな手法を使っています。しかし、それはどちらかというと「場当たり的」で、どこかがやって成功したから自分達もやってみようというレベルでしかない場合が多々あります。マーケティングでは売上構成要素を分類・整理してそれぞれの企業の状況・取り巻く環境・目標ターゲット・持っている資源等に合わせて即効性のある活動を構築していきます。
 前回の講座で、「マーケティングの心」についてお伝えしました。みなさんがそれを身につけたという前提で次は、売上を上げる為のプロモーションの考え方をお伝えします。
 最初に売上の構造要素を考えてみます。 それは・・

  売上 = 購入客数の増加 × 客単価の増加 です。

 これが売上を分析した上で得られる構造要素です。つまり、「お客様の数」と「客単価」のかけ算が売上になるのです。方法は大きく分ければたったの2つです。お客様を増やすか、お客様が一回で購入する金額を増やすかです。

●お客の増やし方


 それでは、お客様を増やすにはどうすればいいか。それは店舗やサイトの「利用客数を増やす」か、あるいはお客様の「利用頻度を高める」ことによります。

  購入客数の増加 = 利用客数の増加 × 利用頻度の増加


 店舗やサイトのお客様の数を増やすことは、新規顧客の開拓となります。継続した新規顧客の獲得は、購入客数の増加となり得ます。同様に利用頻度の増加は既存顧客の継続となります。ですから、購入客数の増加を図る上では、新規顧客の開拓と同時に既存顧客の活性化が重要な要因となります。

 次に、必要なことは客単価の増加を実現することです。その為には、商品の単価が高ければいいのです。つまり高額商品の取扱や、高付加価値の商品販売などとなります。また、買い物をなさるお客さんの一度の買物での買い上げ個数を増やすことも、客単価の増加となります。


  客単価の増加 = 商品単価の向上 × 買上個数の増加


 このように売上構成要素を分解して見てみると、自分のビジネスでどの部分が弱いか、どの要素を強化したいかがはっきりと見えてきます。これまでの「行き当たりばったり」ではなく、科学的に計算された簡単な方程式にしたがって「抜け」のない総合的なプロモーションの実施が可能となってくるのです。
 ただ漠然と売上を向上させることを考えるよりは、プロモーションの目的をより明確にすることで「戦略的」に販売することが可能となってきます。現在の店舗・サイトの売上構造はいまどのようになっており、どの「構造要素」を改善・向上させるべきなのか明確にし、上記の4つの構造要素ごとのプロモーションの「代替案」はどのようなものがあるのか、どれが有効なのかを明らかにします。「戦略的」とは、構造を変革して戦うことですから、店舗・サイトの売上構造をどのように変革するかを考えることが戦略となるのです。

それでは、具体的にそれぞれの売上要素のいくつかの事例を見ていきましょう。
1.利用客数の増加
 まず利用客数を増加したい場合には、方法のひとつとして「訴求顧客層の変化」があります。
つまり店舗やサイトの利用客層を拡大するのです。例えばこれまで三線を観光客に向けて売っていたとしたら、県内の小中学校にねらいを絞って、訴求する顧客層を小中学校の音楽の先生や父兄にするといったことです。

2.利用頻度の増加
 利用頻度を増加させたい場合には、「オケージョン提案」つまり利用機会の拡大を図ります。キャンペーンやミニイベントのきめ細かい開催、あるいは「母の日」や「結婚記念日」等のお客様の特別な日に対する販売の提案もひとつの方法です。

3.商品単価の向上
 現在店舗・サイトで扱っている商品のプロダクトライン上の高額商品やお値打ち感がする大容量商品の拡販が効果的でしょう。

4.買上個数の増加
 買上個数の増加させる方法としては、3つ考えられます。第一は個々の商品およびカテゴリーで複数商品を購入してもらうことです。これは、「まとめて安く買う」というバンドル販売等が効果的です。第二に、複数の商品やカテゴリーを関連づけて複数の商品を購入してもらうことです。特に、関連販売、メニュー提案等が効果的です。
よく、スーパーにいくと、野菜売場の人参やジャガイモ、タマネギの横にカレーのルーが置かれているものを見かけます。これなどは代表的な関連販売となります。第三に、店舗・サイト全体を通じ、一人のお客様の購買行動プロセスに働きかけ、トータルの買い上げ個数を増加させる方法です。
店舗やサイトのレイアウトや流れの設計等を含めたインストア(インサイト)マーチャンダイジングとなります。

 マーケティングは心と技術が一体となって初めて機能します。心を伴わないマーケティングは、お客様の心をいつまでもつかみ続けることは不可能です。しかし、技術を伴わないマーケティングでは、今日の売上をあげることはできません。この二つのバランスを取り、着実に実行していけば、あなたの店舗・サイトの売上や利益アップは保証されるでしょう。
[沖縄国際大学教授 宮森正樹 2003.08.28]